Google Android 開発ブログに、Android Qで提供される新機能ゼスチャーナビゲーションについて開発における内部事情などについての記事が投稿されました。
記事の前半の内容をコメントを加えて紹介致します。
Android 10(コードネーム Android Q)での大きな変更点の一つは、新しいジェスチャーナビゲーションの導入です。新しいシステムナビゲーションモードを使用して、ユーザーは、左や右の端をスワイプして、前画面に戻ったり、下の端からスワイプアップして、ホームスクリーンを表示したりすることができます。また、ボタンを使用するのではなく、下部の端を握って、Google アシスタントを起動したりすることができます。
ジェスチャーモデルをシステムナビゲーションに導入することで、より多様な体験をアプリ操作のスクリーンで可能にします。
Googleは、この挑戦、根拠(理由付け)、そして、いくつかのトレードオフについて、どの様に対処を行ったのかの内側を共有したいと考えております。
これから説明するジェスチャーに関連したデザインでの工夫、こだわりもあります。しかしながら、ユーザーにサービスを提供するOEM エコシステムと開発者のバランスをどの様に撮ったのかについての洞察となる材料を提供できれば幸いです。
もし、アプリ開発者として、さらに詳細なこれらの挑戦についての情報をお探しの場合は、“Going edge-to-edge” の記事をご覧ください。
なぜ、ジェスチャー?
Androidについての素晴らしい事の一つは、アプリ開発者とAndroid パートナーにとって、新しい、革新的な携帯電話のアプローチの機会となることです。
ジェスチャーは、2009年頃からありましたが、この3年の間、Googleはジェスチャーナビゲーションのパターンがハンドヘルド端末に増えてきているのを見てきました。
この傾向は、Android パートナーの創意工夫とFluid NGやXDなどのジェスチャーナビゲーション Android アプリがとてもクールなアイディアを試すことによって、引っ張られてきました。
Googleがジェスチャーナビゲーションについてさらに調査を開始した時、特にユーザーの利点について注視しました。
- ジェスチャーは、より早く自然に近く、人間工学に基づいた方法で電話を操作できる。
- ジェスチャーは、電話を掴むだけでトリガーできたりするので、ソフトウェアボタンよりより意図的に利用することが可能。
- ジェスチャーは、アプリの内容を覆う部分を最小限にして、より立体的なアプリの体験を可能にします。例: ホーム/バック ボタンとバーなどが置かれている場所 – 特にハードウェアは、より大きいスクリーンでさらに枠は小さくなるトレンドに向かっているため。
しかしながら、全て良いことばかりではありません。ゼスチャーモードには多くの課題もあると認識しています。
- ゼスチャーは、全てのユーザーにとって使いやすいものではない。
- ゼスチャーは、習得するのが難しく、調整も必要となったりする。
- ゼスチャーは、アプリのナビゲーションパターンを阻害する場合がある。
しかし、何よりも、異なるAndroid フォンで異なるゼスチャーがあると、特にAndroidの開発者にとって、更に大きな分裂の問題があることを認識しました。
昨年、Samsung、Xiaomi、HMD Global、OPPO、OnePlus、LG、Motorola、そして他の多くのパートナーと協力して、これからのジェスチャーナビゲーションの標準化に取り組みました。一貫したユーザーと開発者の体験を一貫した確かなものにするため、Android Qのジェスチャーは、新しいQ以降の機器のジェスチャーナビゲーションのデフォルトになります。
これらのジェスチャーは、全てのユーザーにとって、特に手で操作するスキルに制限がある(手先が不器用)であったり、動きに制限がある人にとっては、適さないことを理解し、3ボタンナビゲーションは、全てのAndroid端末において、引き続きオプション取りして利用可能となります。
それで、なぜ、これらのゼスチャーなのか?
我々は、ユーザーがどのように携帯電話を持ち、通常のリーチがどのようなものか、そして、携帯電話のどの部分をユーザーが最も使っているかを理解するための調査を始めました。その結果から、我々は多くのプロトタイプ(試作)を作り、使いこなせるようになる、操作を覚える(使えるようになる)スピード、人間工学、そしてその他の事柄について、細かく検証、テストを行いました。
そして、我々は、ユーザーがシステムをどれだけ早く覚えるか、システムに慣れる時間、ユーザーがそれらについてどのように感じたな等、多岐にわたる調査を行った結果を元に究極の設計を行いました。
最も初期の段階から、Android ナビゲーションのユニークな要素はバックボタンです。それによって、Androidは操作しやすく、覚えやすいと(正しい動作・反応が何かという多くの議論はありますが)多くのユーザーから評価を得ております。– そして、頻繁に使用されています!
実際に、ホームボタンよりも頻繁で、50%異常使用されています。そのため、我々の設計目標の一つは、バックジェスチャーは人間工学に基づいたものであり、信頼でき、本能的に使えることを確実にする — そして、ドローワーや最近の(recents)などそれほど頻繁に使用されない他の操作よりも、この目標に優先度を高く置きました。
下のリーチャビリティ(リーチできる範囲)を見た上で、我々は2つの主要なジェスチャー(バックとホーム)が親指の動きで最も違和感なく届くようにするように設計しました。
この親指の届く範囲のデータ検証は、基本的に片手の操作のためのものです。私の場合は大きい画面のXLのため、親指が届く範囲は小さいです。
Googleは多くの異なるゼスチャーモデルの試作を作成して、ユーザーの評価と作業を行う時間において、最終的にQモデルとなったものとそれ以外のナビゲーション試用モデルを比較しました。以下が、テストの結果のいくつかの例のグラフです。
ホームとバック(戻る)操作は、Qモデルが最も短い時間でできる結果となっています。
オーバービューと直近のアプリにアクセスする操作は、Qモデルは早くはありません。
Android Qのゼスチャーナビゲーションについての考察と感想
ナビゲーション、操作性については、人によって評価が異なるところがあります。またトレードオフ(取捨選択)が伴うことが多いです。上で紹介した開発者向けサイトの記事を読むと、どのようなテストを行って、Android Qのシステムナビゲーションの仕様を決めたのかの大きな流れが掴めます。
スマートフォンのナビゲーションは、アプリ固有のものが存在し、さらにはアプリでシステムナビゲーションもある状況になってくると、システムナビゲーションの仕様を標準化する必要性も発生してくることが背景としてあったことも分かりました。
ボタン操作が人間工学的には良好な数値となることは把握した上で、Qのシステムナビゲーションは、特に最も利用頻度の高いバック(戻る)とホームへのナビゲーションに優先順位を置いて決定したということも妥当な判断だと思いました。
3ボタンも操作に残した上で、Qの新機能ゼスチャーナビゲーションを追加した背景も理解することができました。
個人的には、片手で操作することはほとんどないこと、画面の大きさに対して手が小さく、指も短いため、片手(親指)のナビゲーションは実質使えませんが、Qのゼスチャーナビゲーションを使っています。
両手で操作しても、操作しやすくて気に入っています。
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